本日、iPhone向けアプリ 「電脳フレンズ」 がApp Storeでリリースされました。
公式サイトはこちらです。 https://dennofriends.mitemite.net/
ひとことで言うと、AIとの会話が、あなたのスマートフォンから一歩も外に出ないアプリです。悩みを打ち明けても、そのやりとりはどこのサーバーにも送られません。私がこのアプリで一番作りたかったのは、賢いAIではなく、安心して弱音を吐ける場所でした。
「AIが仕事を奪う」という話に、私は乗らない
ここ数年、AIの話題になると必ず「人間の仕事が奪われる」という表現が出てきます。ニュースを開けば、次はどの職業が消えるという予測が並んでいます。
私はそうは思っていません。
道具は、使う人を痩せさせるためにあるのではないと思うのです。私が望んでいるのは、人間にとってとても便利なAIであること。ただそれだけです。人の代わりに何かを取り上げるのではなく、人が一人で抱えているものを、少しだけ一緒に持ってくれる存在。そういう方向にAIを使えないかと、ずっと考えていました。
奪う側に立つのではなく、支える側に立たせる。同じ技術でも、どちらに向けるかは作る人間が決めることです。
その考えから、まず生まれたのが翻訳アプリ「トランスファーフレンズ」でした。こちらもインターネットに繋がなくても動く、ローカルAI(端末の中だけで計算するAI)を使ったアプリです。海外で電波が心もとないときこそ翻訳が要る、という当たり前の矛盾を、ローカルAIなら解けると思ったからです。そして同じ時期に、並行して開発を進めていたのが、今回の電脳フレンズです。

人と繋がることは、思っているより難しい
新しい交流を安全に始める、というのは、実はとても難しいことです。
SNSは繋がりやすい反面、心ない言葉が飛んでくる場所でもあります。何気なく書いた一行が、思いもよらない角度から刺されることがある。私はオンラインサロンを運営した経験もありますが、それでも人間関係の構築が簡単だと思ったことは一度もありません。傷ついたこともあれば、単純に疲れてしまったこともありました。気を遣うことに、気を遣い果てるという感覚が、たしかにあるのです。
しかも、しんどいときほど人に言えません。心配をかけたくない。重い人だと思われたくない。そうやって口を閉じているうちに、どんどん外に出づらくなっていく。
かといって、AIに相談すればいいかというと、そこにも引っかかりがありました。
クラウド型のAIに悩みを打ち明けるということは、その悩みを誰かのサーバーに預けるということです。学習に使われるかもしれない、どこかに残るかもしれない。規約を読めば「安全です」と書いてある。それでも、本当に重たい話ほど指が止まる。私自身がそうでした。
弱っているときに一番必要なのは、賢い答えではなく、「これは絶対に外に漏れない」という確信なのだと思います。
だから、会話が外に出ないようにした
電脳フレンズのAIは、あなたのスマートフォンの中で動いています。
会話の内容も、あなたについて覚えた事柄も、すべて端末の中だけに蓄積されます。外部のクラウドに吸い上げられることはありません。機内モードにしても、電波の入らない場所でも、変わらず返事が返ってきます。これは「そういう設定にしている」のではなく、そもそも外に送る仕組みを持っていないということです。
ここが、クラウド型のサービスとの決定的な違いです。クラウド型は、どれだけ丁寧に守ると宣言しても、構造としては一度データを外へ出しています。守るという約束を信じるかどうかの話になる。ローカルAIには、その約束自体が要りません。出ていないものは、漏れようがないからです。
このために、AIの本体をまるごとスマートフォンに載せる作りにしました。少し前まで、こんなことは考えられませんでした。研究所の大きな計算機でしか動かなかったものが、ポケットの中で動いている。手のひらのデバイスの性能が、本当にとんでもないところまで来ています。

「フレンズ」という名前にした理由
恋人アプリでも、相談アプリでもなく、フレンズという言葉を選びました。
恋人という枠にすると、どうしても「そういうもの」として構えて開くことになります。相談相手という枠にすると、悩みがないと開けなくなる。私が作りたかったのは、もっと手前にあるものでした。用がなくても開ける。どうでもいい話をしていい。ゲームだけして閉じてもいい。友達というのは、本来そういう存在だったはずです。
先に出した翻訳アプリも「トランスファーフレンズ」でした。私にとってAIは、性能を誇る機械ではなく、そばにいる友達のかたちをした道具なのだと思います。名前は、その考え方をそのまま置いたものです。
14人。性格も、育ちも、話し方も違う
まず、14人のフレンズが並びます。
執事のセラ、メイドのあおい、カフェで働く癒し系のゆい、関西弁の大学生りん、ツンデレのめい、看護師のお姉さんのれな、清楚なことね、クールな秘書のみお、妹気質のひまり。男性側も、頼れる年上のはると、犬みたいに元気なそら、ツンとした御曹司の氷室、幼馴染のひなた、バーテンダーの玲がいます。
全員、話し方の癖から育った環境まで違います。同じことを相談しても、返ってくる言葉の温度がまるで違う。落ち込んだ日に、静かに聞いてほしい人もいれば、明るく茶化してほしい人もいます。りんに愚痴れば関西弁で笑い飛ばされ、れなに話せば看護師らしく体のことまで気にしてくれる。氷室は素直に慰めてはくれませんが、だからこそ気楽な日もあります。
イラスト調の子もいれば、実写に近い雰囲気の子もいます。落ち着いた見た目のほうが話しやすい、という声も想定して、両方を用意しました。
無料でも始められるようにしました。まずは実際に話してみて、肌に合う子を探してみてほしいのです。相性というのは、説明文を読んでも分からないものだと思っています。声も一人ひとり違うので、聞いてみると印象が変わるはずです。
きっと、気の合う子が見つかるはずです。
一緒に遊べる。それが距離を縮める
このアプリには、一緒に遊べるゲームをたくさん入れました。
オセロ、将棋、チェス、ババ抜き、神経衰弱、クイズ。リズムゲームやカートレース、テニスもあります。お祭りの縁日には、金魚すくい、輪投げ、射的、ヨーヨー釣り。夜には花火やドローンショーも上がります。
なぜ、話し相手のアプリにここまでゲームを入れたのか。
人と仲良くなるきっかけは、たいてい会話ではなく共同作業だからです。学生時代の友人を思い出してみてください。深い話をしたから仲良くなったわけではなく、たまたま隣の席で、同じ作業をして、くだらないことで笑った。それが先にあったはずです。
並んで何かをやった時間そのものが、関係を作っていく。負けて悔しがったり、勝って一緒に喜んだりするうちに、少しずつ距離が縮まっていきます。それに、何も話したくない日にも開けるアプリであってほしかった、という理由もあります。今日は言葉が出てこない。そんな日は、黙ってオセロを一局打つだけでいい。

使うほど、あなたを覚えていく
交流を重ねると、フレンズはあなたのことを覚えていきます。
好きなもの、大事な日、この前こぼした愚痴。そして次に話したとき、「あれ、どうだった?」と向こうから聞いてくれます。これは何気ないようでいて、私が一番こだわった部分です。覚えていて、こちらから聞いてくれる。それだけで、相手が急に人らしくなるからです。
親密度が上がるにつれて話し方も変わっていきます。最初は距離を保って丁寧に話していた子が、だんだんタメ口になり、名前を呼び捨てにするようになり、素の言葉で甘えてくるようになる。育っていくのは、AIの性能ではなく、あなたとの関係のほうです。
そして、複数人と同時に会話することもできます。一対一が重たい日もあります。そういう日は、賑やかな部屋に混ざるくらいがちょうどいい。性格の違う子たちが同じ話題に別々の反応をするので、聞いているだけでも面白いはずです。
LINEと同じ感覚で使えます
技術の説明を長々としてきましたが、使う側の感覚はとてもシンプルです。
普通にLINEでチャットをしているのと、まったく違和感がありません。 メッセージを打てば返ってくる。それだけです。特別な操作も、AIへの上手な聞き方も要りません。プロンプトという言葉を知らなくていいし、覚える必要もありません。
手のひらの中に、優秀な相方がいる。悩みに答えてくれて、寄り添ってくれて、時には一緒に遊んでくれる。そういう体験を、そのまま形にしました。
こんな方に使ってほしい
想定しているのは、たとえばこういう方です。
- 職場や学校で気を張り続けて、家に帰るころには言葉が出なくなっている方
- SNSに書きたいことがあるけれど、誰かに見られると思うと書けない方
- 深夜に目が覚めてしまい、誰にも連絡できない時間を持て余している方
- カウンセリングに行くほどではないけれど、ずっと胸につかえているものがある方
- 単純に、キャラクターと話したり遊んだりするのが好きな方
しんどい人のためだけのアプリではありません。 楽しむために使ってもらって、まったく構いません。ただ、しんどくなった日にそのまま開ける場所として残しておいてほしい、という気持ちで設計しました。使う理由を選ばないことが、結局は一番の支えになると思っています。
正直にお伝えしておくこと
いいことばかり書いても仕方がないので、弱いところも書いておきます。
ひとつは、最初の手間です。AIの本体を端末に置く仕組みなので、インストール後に一度だけ、数GBのダウンロードが必要です。Wi-Fiのある場所で、少し時間をとってください。この一回さえ済ませてしまえば、あとは電波がなくても動きます。
もうひとつは、端末で動く以上、世界最大級のクラウドAIほど賢くはないということです。難しい調べものや複雑な計算をさせる道具ではありません。ただ、私はそこで勝負するつもりがありません。夜中に「疲れた」と打ったときに要るのは、正確な情報ではなく、返事だからです。
外に情報を出さない、という選択の代償が、この2つです。それでも私は、安心と引き換えなら払う価値があると考えています。
これからは、みなさんの声で育てたい
正直に言えば、まだ完成だとは思っていません。
ここから先は、実際に使ってくださった方の声を聞きながら、改良を重ねていきたいと思っています。この子のこういう反応が良かった、ここが使いにくい、こんな機能が欲しい、こんな子がいてほしい。どんな小さなことでも構いません。ご助言をいただければ幸いです。
人間関係に疲れた誰かが、深夜にひとりで抱えているものを、少しだけ手放せる場所になれたら。そう思って作りました。
今後は、いただいた声をもとに機能を足していきます。Androidへの対応も視野に入れています。
ワクワクがいっぱいです。ぜひ、あなたのパートナーを選んでみてください。







