「16GBじゃ、もう手詰まりだ」——今年の3月に約10万円で買ったMac mini M4を半年間毎日使い続けて、私がたどり着いた結論です。そして今回、新しく発売された Mac Studio M5 Max 64GB と Mac mini M6 32GB の2台を迎えました。
この記事では、なぜ2台なのか、なぜ「512GB」ではなく「64GB」に落ち着いたのか、そして個人の開発者にとって「ローカルAIの時代」が何を意味するのかを、半年間の実体験から書いてみます。開封の様子は動画にもしているので、よかったらそちらもご覧ください。
▶ Mac Studio M5 64GB vs Mac mini M6 32GB マックスタジオ開封の儀!新商品が届いたよの巻(YouTube)

半年間、16GBのMac miniと走り続けた
私がMac miniを買ったのは今年の3月。目的はアプリ開発とシステム開発でした。代表的な成果は「トランスファーフレンズ」と「電脳フレンズ」。この半年で 2本のアプリをリリース できたのは、この一番安いMac miniのおかげです。
ただ、正直に言うと16GBのメモリは本当にあっという間に埋まります。ビルドを回し、ブラウザを開き、開発サーバーを立ち上げ、AIのエージェントを走らせる——それだけでメモリは尽き、Macはずっとスワップファイル(メモリの代わりにSSDへ一時退避させる仕組み)を作り続けていました。時々「もたつく」感触があったのは、間違いなくこれが原因です。
それでも「ストレスで投げ出したくなる」ほどではなかった。理由は分担です。重たい処理——画像生成や音声モデルの学習などは、Windows 11 と RTX 5090、メモリ128GBのマシン側に投げていました。Macは「指示を出して、開発を回す司令塔」、Windowsは「力仕事の工場」。この役割分担がうまく噛み合っていたので、16GBでも半年間なんとか走り切れたのだと思います。
よくできた機械でした。安さのわりに本当に働いてくれた。私がMacの「ファン」になったのは、この半年の相棒ぶりが大きいと思います。
なぜ2台? Mac Studio M5 64GB と
Mac mini M6 32GB
新しいMacが出る、という話が今回の購入のきっかけでした。選んだのは次の2台です。
- Mac Studio M5 Max / メモリ64GB — 開発とローカルAIの主戦場
- Mac mini M6 / メモリ32GB — 常時稼働のプロジェクト専用機
実は今回の新型ラインには、最大 512GB というとんでもないメモリを積めるMacも予定されています。ただ、おおよその価格は500万円ほど。とても手が出ません。
いろいろ計算した結果、「投資として回収できる線」は64GBのMac Studioでした。理屈はこうです。
ローカルAI(自分のパソコンの中だけで動かすAI)を本気で使うなら、64GBでも到底足りません。3年後にどうなっているかは誰にもわかりませんが、大きなモデルは今後もクラウド頼みになるはずで、この関係はずっと続くと思っています。ならば、64GBの中に30GB前後のローカルモデルを載せて、日々の開発と並走させる ——これが現実的なちょうどいい落としどころでした。
Mac mini M6のほうは、24時間止めずに動かしたいプロジェクトのための機械です。だから同シリーズで最もメモリの多い32GBを選びました。「Mac mini M6 Proなら64GB積めるじゃないか」と思われるかもしれませんが、そこまで出すならStudioを買った方がいい、という判断です。用途をはっきり分けたからこそ、2台の構成に迷いはありませんでした。

私の机の上の構成(分担のかたち)
言葉だけだとイメージしにくいので、いまの体制を一覧にしておきます。
| 機械 | 役割 | メモリ | ひとこと |
|---|---|---|---|
| Mac Studio M5 Max | 開発の主戦場+ローカルAI常駐 | 64GB | 30GB級モデルを載せて開発と並走 |
| Mac mini M6 | 24時間止めない常時稼働プロジェクト | 32GB | 最新2nm・シングル最速・省電力 |
| Windows 11 / RTX 5090 | 画像生成・音声モデルの学習など力仕事 | 128GB | GPUが必要な処理はすべてこちら |
| Mac mini M4(旧) | 半年間の主力→役目を終えて引き継ぎ | 16GB | 約10万円で2本のアプリを生んだ功労者 |
ポイントは「1台で全部やろうとしない」ことです。GPUが要る処理はWindowsに、常時回すものはMac miniに、頭を使う開発とローカルAIはMac Studioに。それぞれの機械が得意なことだけをやれば、どれも無理をしません。16GBで半年しのげたのも、この分担があったからでした。
「最新のチップが一番下」というAppleの流儀
面白いのは、今回 2nmプロセスで作られた最新のM6が、ラインナップでは一番下のMac miniに載っている ことです。しかも現時点で最も高いシングルコア性能を持つのはこのM6。上位モデルのMac Studioには、少し前の世代のプロセスであるM5 Maxが君臨しています。
毎回この形になるのは、いくつか理由があるのでしょう。
- 新しい製造プロセスが成熟するには時間がかかる
- そのプロセスで大型のCPU/GPUを作るには、さらに時間がいる
- 最新鋭のチップは「まず小さいところで試す」意味合いもある
つまり、いきなり最新プロセスで巨大チップを作るのは、ハード的にもソフト的にもリスクが高い。安定性と性能が必要なものには、枯れた技術の方が向いている——そういう考え方です。
私自身も同じ理屈で選んでいます。性能を出したい主戦場には成熟したM5 Maxを、単体の速さと省電力で常時回す機械には最新のM6を。Appleの流儀と、私の使い分けが偶然きれいに一致しました。
私はほとんどmacOSに触っていない
意外に思われるかもしれませんが、私はmacOSがあまり得意ではありません。それでもMacで半年開発できたのは、Macを直接触っていないから です。
私のスタイルは「指示だけ出して、あとは自動で動いてもらう」。Windowsの画面からMacを覗いて、AIに「これをやって」と頼む。ビルドもデプロイもファイル整理も、Macの中のソフトウェアを動かすのはAIです。だから私はMacの性能だけを借りている感覚で、macOSに慣れる必要すらなかった。Macに入っているアプリの大半は、私自身は一度も開いていないと思います。
これは冗談ではなく、今の開発の実態です。
「思いがそのまま形になる」時代
初代iPhoneから世代を数えれば、およそ15年。この15年で、開発の風景は完全に変わりました。
以前、アプリを1本作ろうと思えば、誰かに依頼して、何度も打ち合わせをして、仕様を詰めて、修正のたびにまた打ち合わせ——大変で、時間もお金もかかりました。それが今は、私ひとりで、この費用で、しかも爆速で 形になる。半年で2本のリリースは、以前の私なら考えられなかったことです。
すべてを人間の手でやろうとすれば、時間はまったく足りませんでした。3月からこの体制を運用して、ようやく慣れてきたところ。それでも「自分の思いがそのまま形になる」という手触りは、本当に感動でした。

セカンドステージ:ローカルAIという「手」が増える
そして今が、私にとってのセカンドステージです。
これまでのMac mini 16GBには、ローカルAIを入れる余裕が1ミリもありませんでした。開発だけでメモリは満杯。AIはすべてクラウドに頼るしかなかった。
64GBのMac Studioなら、開発を回しながら 30GB級のモデルをローカルで常駐させられます。ラジオの台本の下ごしらえ、投稿文の一次チェック、ちょっとした分類や要約——外に出したくないデータや、細かく何百回も呼ぶ処理を、自分の机の上で片付けられる。「手が増えた」という表現が一番近いと思います。
具体的には、こんな使い方を考えています。
- クラウドAIの前さばき:長い資料や大量のログをまずローカルで要約・分類し、本当に頭を使う判断だけをクラウドの大きなモデルへ渡す。往復の回数が減れば、費用も待ち時間も減ります
- 外に出したくないデータの処理:住所や契約のような個人情報に近いものは、机の上で完結させる。ローカルなら通信そのものが発生しません
- 深夜の無人作業:私が寝ている間に、記事の下書きチェックや音声素材の整理をローカルモデルに回しておく。電気代以外のコストがかからないので「とりあえず全部やらせる」ができます
クラウドの賢さと、ローカルの気軽さ。どちらか一方ではなく、両方を机の上に置けるようになった。これが私にとってのセカンドステージの実感です。
本当はもっとメモリが欲しい。でも欲をかくと金額がとんでもなく跳ね上がり、投資として釣り合わなくなります。だから64GBに収めた。スワップファイルをほとんど作らず、安定してアプリ開発が続けられる。コストパフォーマンスとしては、いまの私にちょうどいい線だと感じています。場合によっては、クラウドを使わずローカルだけで回す運用も見えてきました。
これから選ぶ人へ、私の物差し
「どのMacを買えばいいか」と聞かれたら、私はメモリの話から始めます。CPUの世代よりも、開発とAIを同時に走らせるならメモリの量がすべて だからです。
- とりあえず開発を始めたい → 16GBのMac miniで十分に戦えます。私が証明済みです。ただしAIはクラウド前提
- 開発しながらローカルAIも動かしたい → 32GBでは小さめのモデル止まり。本気なら64GB以上
- 巨大なモデルを手元で → 128GB以上。ただし価格が跳ね上がるので、投資で回収できるかを先に計算
私の場合、64GBが「回収できる線」でした。この線は人によって違います。大事なのは、欲しい性能ではなく 回収できる金額 で決めることだと思っています。
ローカルAIの時代に、個人ができること
ローカルAIの時代がやってきた、と私は思っています。それは「クラウドがいらなくなる」という話ではありません。大きな頭脳はクラウドに、手元の作業はローカルに。その二層構造を、個人が10万円〜数十万円の機械で組める時代になった ということです。
半年前、16GBのMac miniで走り始めた私が、いま64GBのMac Studioと32GBのMac miniを机に並べている。この2台でこれから何を作るのか——成果物は順次この「みてみて」でも紹介していくつもりです。よかったら楽しみにお待ちください。
まずは開封動画から、どうぞ。
▶ Mac Studio M5 64GB vs Mac mini M6 32GB マックスタジオ開封の儀!(YouTube)







